今回の建設業法改正について概要をまとめます。
背景には3点ありまして、①建設業の働き方改革の促進 長時間労働が常態化しているため、その是正策として時間外労働の上限規制が改正労働基準法に基づき2024年度からの適用開始が予定されていること。
②建設現場の生産性の向上 高齢化の進む業界に若者を呼び込み、将来の担い手を確保することが急務となってきていること。
③持続可能な事業環境の確保 災害が年々増加しており、建設業者の緊急対応がますます重要となってきていること。また、地方部を中心に事業者が減少し、後継者難が重要な課題となっていること。今後も地域の守り手として活躍し続ける環境整備が必要だということ。
これらの背景・課題について、平成26年の「担い手3法」の施工により改善された成果をさらに充実させるため、今回新たに「新・担い手3法」として、品確法と建設業法と入契法が改正されました。
建設業法改正の内容は、先の背景・課題に対応し、①働き方改革の促進 長時間労働の是正のため工期の適正化を図った。中央建設業審議会が工期の基準を作成し、著しく短い工期による請負契約を禁止しました。また、現場の処遇改善を図るため建設業許可の際、社会保険の加入を要件化しました(加入していないと許可されない)。さらに下請代金のうち労務費相当分は現金払いとしました。
②建設現場の生産性の向上 技術者に関する規制の合理化について、監理技術者の専任の緩和→技師補を配置すれば兼任を容認しました。主任技術者(下請)は一定の要件を満たせば配置不要となりました。
③災害時の緊急対応の充実強化、持続可能な事業環境の確保 災害時には建設業者と地方公共団体等との連携が努力義務化されました。 建設業の許可要件のうち経営業務管理責任者の配置規制の見直しを行い、改正前の「経営業務の管理責任者がいること」から、改正後は「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること」とされました。常勤役員等の体制が一定の条件を満たし適切な経営能力を有すること、適切な社会保険に加入していることの2つの要件を満たすものとなりました。例えば今まで役員経験が2年半しかない人は対象とならなかったが、役員になる前に業務部長や管理部長などを経験していると経営管理者になれることがあるということです。
③続き また、事業承継の規定が整備された。これまで建設業者が事業の譲渡、会社の合併、分割を行った場合は新会社は新たに建設業許可を取り直すことが必要で、建設業を営むことができない空白期間が生じ、不利益を受けていました。そこで今回、事前に認可を受けることで許可を承継することができるようになったのです。また、相続についても、建設業者の死亡後30日以内に申請を行い認可を受けたときは、許可を承継することができるようになりました。
以上のとおり、基準等の緩和がなされた結果、今まで通らなかったケースが許可されることになる可能性が出てきています。詳細を検討しなければなりませんが、見直しの機会を見逃さないようにしなければと思います。