12月2日 参院で改正種苗法が可決成立したとのニュースが流れました。内容について、今の時点でまとめておきたいと思います。これは来年4月1日の施行予定で、不正に国外へ種子や苗木を持ち出した違反者には、個人で10年以下の懲役、1000万円以下の罰金が科されることになります。

30年も国が開発してきたシャインマスカットが、いつの間にか中国で栽培されている。シャインは食感が従来のぶどうとは全く違う上、香りもすばらしく画期的なすばらしい商品だと思います。以前和牛の話もあったが、こんな日本にとっての宝が流出することはまったく許せない話です。

農水省はこのようなことで、国内での品種開発が滞ることも懸念されるので、より実効的に新品種を保護する法改正が必要であると考えたのです。これは、農家に優良な品種を持続的に利用してもらうためだということです。ところが、同時期に提出された和牛関連法案がすんなり通った一方、種苗法改正案は、反対論が盛り上がる等で秋の臨時国会に持ち越されました。

反対論の主なものは、農家による「自家増殖」(自家採種)が禁止され、育成者の許諾が必要となることで、農家の経営を圧迫するのではないかという点です。それまで自由にできた自家増殖が許諾制になり、許諾料が必要になるからということです。この点の理解で重要なのは、現在利用されている多くの品種は一般品種であり(約9割)、許諾が必要となるのは、国や県の試験場が年月と費用をかけて登録された登録品種のみだということです。新品種は農家に栽培してもらわなければ意味がないので、高すぎる許諾料になるとは考えづらいと思います。

一部の地域を除いて後継者のいない農家ばかりで、経営の見通せない農業は先細りするばかりです。農家の利益について考えていかないと,暮らしやすい地域にもなっていかないと思います。今までの農業は、知的財産権の保護に弱かったのだと思います。この改正により、日本からの流出を阻む手段となり、農家や育成者の利益につながっていかなければならないと考えます。

 

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